文部科学省は24日、今年4月に小学6年と中学3年の原則全員を対象に実施した43年ぶりの全国学力テストの結果を公表した。基礎的な知識、技術をみるA問題の正答率は72〜82%に達したが、応用力を測るB問題は61〜72%で、課題が残る結果となった。一方、都道府県ごとの平均正答率は前回に比べ、地域間格差が縮小し、教育の格差是正に一定の効果があったことも明らかになった。
A問題の正答率が高かったことについて文科省では「現場教員の日々の取り組みの成果」としている。
正答率は小学校より中学校、A問題よりB問題、国語より算数・数学で大きな格差がみられた。特に中3の数学は基本段階の学力が身に付いておらず、系統的な学習を必要とする生徒が多かった。
今後の課題として文科省は「複数の資料を比較して、共通点や相違点を整理した上で自分の考えを発表するなど、目的に応じて活用する力を身に付けさせる必要がある」としている。
大都市、中核市、市、町村、僻地(へきち)と地域の規模別に見ると、小学校中学校ともに大きな差は見られず、文科省では「僻地教育の振興に効果があった」と評価している。だが、応用問題では大都市と僻地の間で4〜5ポイントの差があった。
都道府県別では、大半は平均正答率から上下5ポイントの幅に収まったが、小学より中学、国語より算数、基礎より応用でばらつきが目立った。小学では秋田、中学で福井、富山、秋田の各県の正答率が高かった。一方、小学で沖縄県、中学で沖縄、高知、大阪の3府県の正答率が著しく低かった。
国公私立別に見ると、(1)国立(2)私立(3)公立−の順だった。国語の基礎力では平均正答率の差が10ポイント以内に収まったが、中学数学の応用では公立の平均正答率60.6%に対し、私立が17.0ポイント、国立が22.9ポイント上回る大きな差がついた。
児童生徒の学習習慣を調べると、「国語、算数・数学の勉強が役立つ」との回答が近年の抽出調査より増加。1日あたりの学習時間や読書時間も増え、勉強に前向きになってきている傾向がうかがえた。
生活習慣と成績との関係では、「朝食を毎日食べる」「登校前に持ち物を確認する」「家庭で学校の出来事を話す」「人の気持ちが分かる」「学校の規則を守る」子供ほど好成績だった。一方、就学援助率が高い学校ほど正答率が低い傾向が」みられた。
文科省では「課題がみられた児童生徒や学校を支援したい」として学力困難校の教職員や非常勤講師を増やす支援策をはかる。さらに、現在検討している学習指導要領の改定作業にも生かす考えだ。都道府県教委では、検証改善委員会を設置し、学校改善支援プランを作成して学力向上を目指す。
産経新聞