教育総合

東京都、2024年度から私立高授業料を所得に関係なく無償化

東京都は12月5日、都内在住のすべての世帯に対して、私立高校の授業料を2024年度以降、実質無償化する方針であることを発表した。小池百合子知事が同日、第4回都議会定例会の冒頭で行った所信表明において明らかにした。 

都はこれまで私立高授業料の無償化対象を、所得にもとづき一部の世帯に制限してきた。2017年度の無償化制度導入当初は年収760万円未満の世帯とし、2020年度からは年収910万円未満の世帯としてきた。2024年度からはこの制限が撤廃されるとみられる。 

知事は「(子育て世帯の)大きな負担となっている教育費、とりわけ、高校授業料の実質無償化や学校給食費の負担軽減に大胆に踏み出し、スピード感を持って子育て世帯を全力でサポートしていく」と述べた。 

その上で、国もこの取組みに倣うべきであるとし、「国に対し、その責任において、子育て世帯への支援の充実・強化、早期実現を図るよう、強く働きかけを行っていく」と語った。その言葉の通り、12月8日には国に対し、高校・大学の授業料や給食費の無償化を求める知事名の要望書を提出した。

先端教育 2023年12月11日
https://www.sentankyo.jp/articles/ce1a524e-b899-4a09-94cf-5be98a47a59c

中学教科書検定、平均ページ数25%増

 文部科学省は30日、2012年度から使用される中学教科書の検定結果を発表した。
 昨年検定の小学教科書に続き、「ゆとり」への反省から学習内容を充実させた新学習指導要領に基づいており、現行(06年度供給)と比べて全体の平均ページ数が25%、数学では33%、理科では45%増えた。社会では地理、公民の教科書ほぼ全てが竹島問題に触れるなど領土に関する記述が充実した。理科では「イオン」や「放射線」が復活した。東日本巨大地震については来春までに加筆されると見られる。
 検定合格は9教科計105点。中学教科書は、指導要領が「ゆとり」のピークだった00年度検定(02年度供給)で小学教科書とともに学習内容を大幅に削減したが、要領を超えた「発展」が登場した04年度検定(06年度同)で増やされ、今回で「ゆとり」から完全に決別した。全教科でページ数が増え、00年検定時と比べると理科では78%、数学も63%も増えた。
 国語では、30年ぶりに常用漢字表が改定されたことを受け、「鬱(うつ)」など追加漢字196字が一覧表で掲載された教科書もあった。

[読売新聞 2011年3月30日]

<教科書検定>ページ4割増「脱ゆとり」対応

 文部科学省は30日、09年度の教科書検定結果を公表した。主な対象は小学校で11年度から使われる教科書。学力低下批判を踏まえて授業時間を増やし、「脱ゆとり」路線に転換した新学習指導要領に対応する初めての教科書で、全教科の平均ページ数(B5換算)は6年分で計6079ページと、「ゆとり」を強調した以前の教科書(02〜04年度使用)と比べると42.8%(1821ページ)増えている。

 特に理科は67.3%、算数は67.0%も増えた。指導要領の範囲を超える「発展的な内容」の記載が認められた現行教科書(05年度から使用)と比べても、理科は36.7%、算数は33.2%の増。全体では24.5%(1198ページ)増だった。

 算数の反比例や文字式(6年)、理科の食物連鎖(同)など、過去の指導要領改定で削減された学習内容が多数復活。国語は中学年で短歌や俳句、高学年で古文・漢文を学ぶことになる。改正教育基本法を踏まえて、日本の伝統文化に関する記述も拡充された。

 また、本来は中学の指導内容の一次方程式の問題を扱う算数教科書も登場。上の学年で習う漢字のルビ付き表記が増えている。

 今回申請があったのは小学校が9教科280冊で、すべて合格。検定意見は5551件付き、前回検定(03年度)より2810件も多かった。現行の指導要領に対応した高校教科書も2教科5冊の申請があり、すべて合格した。

[毎日新聞 2010年3月30日]

教科書の厚さを倍増、自習にも対応…改革素案が明らかに

 政府の教育再生懇談会(安西祐一郎座長)が、小中高校の教科書の質と量の充実を図るためにまとめた教科書改革の素案の全容が26日、明らかになった。

 これまで一般的だった教室での使用を主目的とした分量の薄い教科書から、「自学自習にも適した教科書」に性格を変えようとするのが特徴だ。特に、国語、理科、英語では、名文の引用や練習問題を豊富にし、総ページ数を2倍に増やす必要がある、としている。

 懇談会は、学力低下を招いたと批判される「ゆとり教育」から転換を図る取り組みとして、28日から素案をもとに具体的な検討に入る。

 日本の教科書の分量は元来、「欧米諸国に比べて格段に少ない」(文部科学省幹部)とされる。約10年前から始まったゆとり教育はこれに拍車をかけ、2002年使用分を最低に、小中学校の多くの科目で総ページ数がかなり減った。

 関係者によると、福田首相も最近、近年の教科書の薄さに懸念を示したという。

 素案は、この点について「教科書が、教室で授業を受けながら使うことを前提に作られている」と指摘し、授業だけでなく、児童・生徒が自習する際にも一人で理解できるよう、丁寧に記述するよう求めた。

 特に、国語や英語では、文豪や哲学者の名文や演説などを豊富に盛り込むよう提案。合わせて、理数系の学力低下が著しいため、算数・数学の練習問題を多くするほか、理科のテコ入れの必要性も指摘した。

 また、学習指導要領の範囲を超え、上の学年で学ぶ内容を先取りする「発展的記述」に関する文科省の指針について、小中学校での上限を「全体の1割」、高校では「2割」としている規定を撤廃するよう求めた。出版社が柔軟に編集できるようにするためだ。

 素案は、こうした改革を実現するため、国語、英語、理科の3教科について、「2倍のページ数が必要」と具体的目標を掲げた。

 新学習指導要領が2011年度から小学校で全面実施され、新しい教科書の準備が間もなく始まることから、懇談会は今秋にも予定される第2次報告にこの改革を盛り込む方針だ。
[読売新聞]

東京都学力テスト:中学生「見通す力」正答率16.6% 「情報整理能力が重要」

 都教育委員会は26日、公立小中学校で今年1月に実施した07年度学力テストの結果を発表した。今回から、小5と中2の全員を対象にするのは各教科で学んだことを日常生活で活用できる力を問う「問題解決能力等に関する調査」だけとなった。特に中学生で「見通す力」の正答率が極端に低くなる課題が浮き彫りにされた。
 全員参加型のテストの受験者は、小学生が8万9256人(受験率約97%)で、中学生が6万7342人(同約92%)。都全体の平均正答率は小学生が59・8%、中学生が56・3%。区市別の平均正答率の最高は、小学生が武蔵野市の66・9%、中学生が千代田区の62・9%。最低は小学生が羽村市の51・9%、中学生が武蔵村山市の51%だった。
 評価の観点別の平均正答率を見ると、中学生の「見通す力」が16・6%にとどまった。出題されたのは、料金設定の異なる3カ所の駐車場の中から家族旅行で利用した最も安い時間帯を答える問題で、都教委は報告書で「題意を読み取り、情報を分かりやすく整理する力を育てることが重要」と指摘した。
 今回初めて実施した抽出校と希望校が対象のテストは、小4で2万3960人(実施率約26%)、中1で2万80人(同約26%)が参加。都全体の平均正答率は小学生が国語84・8%、算数77・2%、中学生が国語82・6%、算数73・6%、数学75%だった。都教委は基礎学力の定着状況について「全体的におおむね良好」と分析している。【木村健二】
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 ◇区市別の07年度学力テストの結果◇
       小学校  中学校
都全体   59.8 56.3
千代田区  66.2 62.9
中央区   65.9 57.6
港区    64.8 58.1
新宿区   62.2 57.6
文京区   65.6 59.3
台東区   60.8 52.9
墨田区   56.7 53.2
江東区   59.0 56.6
品川区   61.6 56.2
目黒区   65.5 59.7
大田区   60.0 54.9
世田谷区  64.5 58.7
渋谷区   62.0 57.8
中野区   61.6 57.6
杉並区   64.0 60.6
豊島区   61.3 57.6
北区    58.0 55.1
荒川区   57.7 54.2
板橋区   59.1 54.8
練馬区   61.8 58.8
足立区   55.0 52.3
葛飾区   57.7 52.7
江戸川区  56.4 52.8
八王子市  56.9 55.6
立川市   57.8 54.9
武蔵野市  66.9 60.4
三鷹市   62.9 57.4
青梅市   53.9 53.7
府中市   61.3 58.0
昭島市   55.5 54.5
調布市   62.0 56.4
町田市   59.2 56.6
小金井市  66.0 61.0
小平市   61.2 59.2
日野市   61.8 56.9
東村山市  59.9 57.3
国分寺市  62.8 62.7
国立市   63.9 60.2
福生市   55.0 51.5
狛江市   59.8 56.8
東大和市  55.4 51.6
清瀬市   57.0 54.2
東久留米市 57.7 57.4
武蔵村山市 59.4 51.0
多摩市   60.7 58.7
稲城市   61.5 57.7
羽村市   51.9 55.2
あきる野市 55.1 54.0
西東京市  60.8 58.4
※町村は公表の対象外。小学校、中学校とも 「問題解決能力等に関する調査」の平均正答率
〔都内版〕

毎日新聞6月27日朝刊