東京都が2005年4月に開設する新都立大学について、都大学管理本部は14日、学部構成と定員、入試の概要を発表した。初年度の募集人員は1510人で、センター試験と個別学力試験からなる一般入試のほか、全学科・コースで推薦入試を実施する。一部のコースにはAO選抜、チャレンジ入試、ゼミナール入試も導入し、選抜方法の多様化を図る。
現都立大がある南大沢キャンパスには都市教養学部(900人)と都市環境学部(200人)を置き、科学技術大がある日野キャンパスにシステムデザイン学部(210人)、保健科学大の荒川キャンパスには保健福祉学部(200人)を配置する。
都市教養学部は、人文・社会系、法学系、経済学系、理工学系に分けて募集するが、従来の縦割りの学問体系にとらわれずに科目選択できる「都市教養コース」を入学後に選ぶこともできる。
管理本部は都内3カ所で概要説明会を開き、さらに詳細な内容は来年1月中旬までに決める予定。現在、文部科学省への設置認可申請を準備中のため、定員や学部・学科の名称などは変更される可能性もある。
一方、大学管理本部は都議会の文教委員会で、新大学設置後も、現在の都立大は10年度まで存続させると説明、「在学生の学習権は保障される」とした。その間は、二つの大学組織が存在することになる。現都立大の学則では最長8年間まで在籍できることになっているが、来春入学する学生は7年後に大学廃止となるため、管理本部は大学側に学則の変更を要請するという。
文教委では、委員から(1)現都立大在学生の意見を十分に聞いたか(2)新大学構想は民主的な議論のうえで決定されたか(3)新大学の具体的な教育内容や入試の概要を早く公表すべきではないか——などの質問が出た。
管理本部は、学生の意見は「アンケートやインターネットで聴取した」として、今後の情報公開についても「十分な情報が学生個々に行きわたるように工夫したい」と答弁した。また、各大学の教員らが新大学のカリキュラムを検討する教学準備委員会では「自由闊達(かったつ)な議論が行われている」と答えた。
また、開学と同時に新大学に暫定大学院を置き、翌06年に研究科・専攻を全面的に再編する「2段階設置」の方針を固めた。暫定大学院は、現在の都立大と同じ人文科学、社会科学、理学などの研究科で構成し、募集は1年限りとなり、10年度末に廃止する。06年以降に入学する院生向けには、各研究科を新大学の特性を生かした組織に再編し、新大学院を改めて設置し直すという。
[毎日教育メール]