文部科学省は30日、来年春から使う小学校の教科書の検定結果を発表した。学力低下批判を受けて文科省が学習指導要領の範囲を超える記述を認めてから、小学校は初の検定。3年前の検定で消えた台形の面積を求める公式(五年生)や小数点2位以下のかけ算やわり算(五年生)が復活。理科や算数はページ数が平均20%増え、再び少し厚くなった。
指導要領の範囲を超す記述(発展的内容)を容認する方針は、昨年検定を終えた高校の教科書(今春利用開始)から適用。発展的内容であることを明記すれば小学校の場合、一冊の教科書の実質14%まで認める。
実際は理科の一部の教科書が発展的内容を13.1パーセント盛り込んだのが最高。理科は平均でも7.7%と高かったが、他は国語0.9%、社会3.5%、算数3.6%と低めで、全教科平均は2.8%にとどまった。
理科では中学に移していた水溶液の中和(六年生)やペットボトルを使ったロケット実験(四年生)が復活した。
社会では5社のうち3社が北朝鮮による拉致問題を取り上げ、被害者が帰国して飛行機のタラップを下りる写真を掲載。3社は米同時テロを、炎上する世界貿易センタービルなどの写真入りで説明した。
保健では新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)を取り上げた社があった。
[日経新聞2004-03-31朝刊]