文部科学省は、中山成彬文科相が導入を表明していた全国学力テストについて、2007年度から公立学校の小学6年生と中学3年生を対象に、1学期に実施する方針を固めた。教科は国語、算数(数学)などの主要教科に絞るとしている。実施の規模、公表の仕方などについてはさらに検討するが、過度の競争を招くとして廃止された全国学力テストが約40年ぶりに復活することで、現場の混乱も予想される。
来年度は、試行テストとして抽出形式で行い、07年度は全員を対象にしたい意向だが、各教委の希望制とする案も浮上している。全員を対象とする場合、問題作成や採点など経費が数十億円規模に上るとの試算もあり、文科省は中央教育審議会での議論も踏まえ、慎重に検討するとみられる。
実施時期については、小6と中3は受験時期にあたるなどとして、小5と中2を推す声もあったが、1学期に実施することで、小5と中2までの学習到達度をみるとともに、受験への影響も少ないと判断した。
全国規模の一斉テストは1956年度に始まったが、学校間の序列化や過度の競争を招いたとして66年度に廃止された。80年代以降、抽出テストは実施されているが、中山文科相は昨秋の就任後、「もう少し競い合う心が必要だ」などと、全国一斉テストの導入を表明していた。
文科省の銭谷真美・初等中等教育局長は24日の中央教育審議会義務教育特別部会で、学力テストの準備のための経費を来年度予算の概算要求に盛り込むことを明らかにした。また、銭谷局長は「(07年度からの本格実施に際しては)小中の最上級学年で、希望する子がすべて受けることが出来る規模を想定して検討したい」などと述べ、公立学校に通う小6と中3の計240万人全員を対象とする考えを正式に表明した。
同部会では、一部の委員が、テスト実施に伴う学校の序列化などの弊害を指摘。銭谷局長は「中教審の議論や専門家の意見を踏まえて詰めていきたい」と述べ、今後、弊害の防止策検討のための検討会を設置する考えも示した。
[毎日教育メール]